不登校の実態と対策についてお伺いします
国の調査によりますと、不登校児童生徒への支援につきましては、義務教育の段階における普通教育 に相当する教育の機会の確保等に関する法律等に基づき、関係者において様々な努力がなされ、児童生徒の社会的自立に向けた支援が行われてきておりますが、近年、不登校児童生徒数が増加し続け、令和3年度の調査では、小学校及び中学校で約24.5万人に上り過去最高となっており、また、同調査からは、90日以上の不登校であるにも かかわらず、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない小・中学生が 約4.6万人に上るという報告もあります。
本市もまた例外ではなく、不登校の児童・生徒は、3月議会の予算審査常任委員会の資料をみると、令和5年1月現在で167人となっており、5年前の平成30年の89人と比較すると、約1.8倍と大きく増加しています。担当課にお聞きしますと、今年度についてもやはり増加傾向にあるとお伺いしております。本市においてもその解消に向け、どの児童・生徒も安心して登校できるよういじめのない学級づくり、相談体制、教職員全体で子どもの変容の把握に努め、予兆を把握しながら、ご家庭、スクールカウンセラー、まなび生活アドバイザーなどの関係者、教育支援センター等の関係機関と連携しながら適切な支援に繋げていただいていることは重々承知しているところですが
学校以外の学びの場を選択する子どもの状況や実態はどうなっているのでしょうか?
不登校児童生徒の支援を行なう「アゼリアひろば」については、現在(R5.6.8)の在籍が8名、体験期間中が2名であり、いずれも中学生であります。
活動内容は、個人で準備してきた教材等による自主的な学習、また少人数によるトランプやボードゲーム、卓球などの遊び、また日常的な花の栽培やスポーツ、社会見学などの体験活動をしており、指導員や仲間との触れ合いや交流を大切にしながら学校復帰や社会的自立への支援をしております。
また、学校以外のフリースクール等に通っている児童生徒は、4月時点で5名(うち市内3名)となっています。不登校児童生徒の教育の機会確保には子どもの状況に合わせた柔軟な対応が必要であると考えており、フリースクールへの通学をガイドラインを基に出席認定するなど、連携を図っているところです。
不登校の子どもに多様な教育の機会を与えることが国の方針であります。学校を休んだ結果、教育の選択肢が無くて行き場を失い、孤立してしまっている子どもが増えてしまっては意味がありません。
本市では、「アゼリアひろば」があります。指導員の先生が学校とも連携しながら、社会的自立にむけて小集団のよさを生かした取り組みの中で、常に自らの意思を大切にしながら学習や活動を行うことで進路を主体的に捉え、学校に向かうようになったり、生活改善につながっているとお聞きしております。
また、昨年、本市内にもフリースクールが1か所開設され、通っているお子さんがいるとお聞きしております。
学校以外に、このような社会的自立を目指す場所があることのご案内はどうのようになされているのでしょうか?
新たなフリースクール等の情報があれば、適宜校長会議等で共有し、必要と思われる保護者に案内をしております。「アゼリアひろば」については、これまでからも市のホームページで広くご案内しているところではあります。
また、教職員向けには年度当初の校長会議や教頭会議等での説明、更に書く教職員全員に配布している「センター通信」による周知を図ってきたところです。
保護者へのご案内については、子ども一人ひとりの状況を見ながら、これまでは学校の教員を通じて必要と思われるご家庭に紹介をしているところであります。全員の保護者に広く周知する、といったことはしておりませんでしたが、最近「『アゼリアひろば』という存在を知らなかった」「もっと早く知らせてほしかった」という声も届いております。
そのため、夏休みに再度、必要とする保護者に適切な説明ができるよう、学校への周知徹底を図って参ります。また、2学期のはじめにはすべての保護者への案内も配布する予定にしております。
昨年6月議会の私の一般質問において、いかなる理由があるにせよ、学校教育の中で躓いてしまった子供たちを、何度でもやり直せることができるように、また学びたいと願っている子どもたちが、自分らしくそれぞれの夢が実現できるように、従来の教育の在り方にとらわれない学びのカタチということをしっかり作り上げていかなければならないということを共通認識としていただきました。
私たち平成会派でも、不登校対策について議論を重ね、昨年11月には会派で愛知県岡崎市の校内フリースクール「F組」を視察しました。
F組とは、愛知県岡崎市が長期欠席者や集団生活になじめない子などに個別最適な学びの場を保障し、多様な教育機会を確保するために設置した校内フリースクールのことです。このF組のFは、Fit(フィット)、Free(フリー)、Fun(ファン)、Future(フューチャー)の意味が込められているそうです。
『適応するのは生徒ではなく学校。F組は学校に適応できるようにする適応指導教室ではない』ことや、通常学級と同じ、一つの学級として扱う。教室復帰ではなく社会的自立を目指すことであること、などお伺いしました。在籍対象者は、長期欠席者(欠席日数30日以上のもの)に限らず、何らかの課題を抱えていて、通常の学級に入れない状態にある生徒で、F組における指導・援助が効果的であると判断された場合のほか、校外の適応指導教室など、関係機関との連携によりF組在籍が適切であると判断された場合も利用できます。
F組の生徒たちが楽しそうに、のびのびと活動する様子も拝見してきました。
本年3月31日に文部科学省が「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)を取りまとめました。
その中でも、自分の学級に入りづらい児童生徒については、学校内に、落ち着いた空 間の中で自分に合ったペースで学習・生活できる環境があれば、学習の遅れやそれに基づく不安も解消され、早期に学習や進学に関する意欲を回復しやすい効果が期待される。
このため、各学校において、支援スタッフ等の活用や学校ボランティア 等の協力も得つつ、空き教室や空いているスペースを利用する等して、こうした機能を有する校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム 等)を設置することが望まれることなど、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策についての(通知)も寄せられたところであります。
不登校の子どもにとって「居場所」というのはとても大切なものです。私たち平成会派は、そうした子どもたちにとって、居心地のよい学びや交流の居場所が、通っている学校内にあるという点、またF組と在籍学級を気軽に行き来できる点は、不登校の未然防止にもつながるかもしれないと考えました。
F組のように、校内フリースクールは全国的にはまだ数少ない取り組みではありますが、不登校生徒にとって自分の居場所を見つけていくうえでひとつの選択肢にならないでしょうか。
不登校児童生徒への支援のため新たな一手となる重点的な取り組みが必要ではないでしょうか、本市でもぜひ校内フリースクールの取り組みを検討していただきたい。ご見解をお伺いします。
議員ご指摘のとおり、全国的に不登校児童・生徒の数は急増しております。
本市においても例外ではなく、(不登校出現率で比較すると、国・京都府より低い)不登校に対する取り組みは、本市にとって喫緊の課題であると考えております。
そのため、今年度、教育支援センター内に新たに「不登校研究部門」を設置いたしました。これは、各校の教職員で構成され、学識経験者(京都文教大学香川教授)を顧問とし、本市の不登校の現状を把握し、本市として必要な支援の在り方について調査研究を進めていくものであります。
本市の現状を分析し、各校の対応の実情の交流を通して必要な支援の在り方を探ってまいりたいと考えております。
また現在、学校においては不登校につながりやすい別室登校をしている児童・生徒も増加しております。議員ご提案の個々の児童生徒の状況に応じた支援が可能となる、「校内フリースクール」のような取り組みができないか、庁内で検討を進めてまいります。
例えば、別室に専属の支援員を配置することで学習機会の確保ときめ細やかな支援が実現でき、また学校内に居場所があるということが、子どもの安心感につながり、社会的自立を目指す支援になるのではと期待するものであります。
さらに、一人1台端末(タブレット)を活用した困難を抱える児童生徒の早期発見(スクリーニング)や、どのような支援が必要なのかといった把握(アセスメント)をするといった仕組みも検討してまいりたいと考えます。
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