私たちは「家」に住んでいるようでいて、実は「地域」に住んでいます。買い物をする店、通い慣れた病院、顔見知りのご近所さん、子どもたちの通う学校や公園——それらが重なり合って、ようやく「暮らし」が成り立ちます。
地域で住まうことの大切さは、人と人とのつながりが、自分の安心と誇りを支えてくれるところにあります。
1「困ったとき」に支え合える
高齢になって車の運転をやめたとき、病院や買い物に行くには、家族だけでは支えきれない場面が増えてきます。そんなとき、同じ地域に「ちょっと声をかけられる人」「ついでに寄ってくれる人」がいることは、大きな安心になります。
• 玄関先で「最近どう?」と声をかけてもらえる
• 荷物が重そうなときに「持ちましょうか」と手を貸してもらえる
• 体調が悪いときに「大丈夫?」と気にかけてもらえる
こうした小さな関わりの積み重ねが、「一人じゃない」という実感につながります。
2.「役割」があることが、生きがいになる
地域には、年齢や立場に応じたさまざまな役割があります。
• 子どもたちを見守る「通学路の見守り」
• 地域行事やお祭りでの手伝い
• サロンやサークルでの声かけ役・世話役
「自分にもできることがある」「誰かの役に立っている」と感じられることは、特に高齢期の大きな生きがいになります。地域で住まうことは、「居場所」と「役割」を得ることでもあります。
3.災害や緊急時に「顔の見える関係」が命を守る
地震・台風・大雨などの災害時、本当に頼りになるのは、日頃から顔を合わせている近所の人たちです。どこに一人暮らしの高齢者が住んでいるか、どの家に小さな子どもがいるか——そうした情報は、日常のつながりがあってこそ共有できます。地域で住まうことは、平時の安心だけでなく、有事の命綱にもなるということです。
4.「完璧な地域」ではなく、「育てていく地域」
もちろん、どの地域にも問題や不満はあります。騒音、世代間ギャップ、価値観の違い…しかし、地域は「与えられるもの」ではなく、そこに住む人たちが少しずつ育てていくものです。
• 挨拶をする
• 困っていそうな人に一声かける
• 地域の会合やサロンに一度行ってみる
そんな小さな一歩から、地域とのつながりは始まります。
5. 「ここで生きていく」という決意が、日々を強くする
「この地域で住まい続けたい」と思えたとき、人は将来の不安と向き合う力を少しずつ取り戻します。老後の暮らし、健康のこと、仕事や収入の不安——それらを一人で抱え込まず、地域の中で分かち合い、相談しながら生きていく。
地域で住まうことの大切さとは、「誰かとつながりながら、安心して歳を重ねていける土台をつくること」なのかもしれません。
