「みんなと同じ」にならなくていい。

野口晃菜さんの著作『「発達障害の子どもたち、「みんなと同じ」にならなくていい。』をご紹介いただいた。さっそく読み進める中で、発達障害という言葉の受け取り方そのものが、少しずつ変わっていくのを感じた。子どもを育てる立場にいると、

「できていないところ」

「周りと同じようにできないこと」

にどうしても目が向いてしまうのでしょう。
親として何とかしてあげたい、困らせたくない、将来を心配する――
その気持ちは決して特別なものではないと思う。
しかし本書では、そうした親の視線にそっとブレーキをかけ、

「困っているのは、子どもではなく“環境”のほうかもしれない」

という問いを差し出してくる。この一文は、責められているのではなく、
肩の力を抜いてよいと言われたように感じられた。また、

「“できない”のではなく、“別のやり方が必要なだけ”」

という言葉は、日々の子育ての場面にそのまま重なる。

できない理由を探すのではなく、合う方法を一緒に探せばいい。
その視点に立つだけで、子どもを見る目が少し優しくなる。

印象的だったのは、

「“みんなと同じ”は、安心の言葉のようで、ときに暴力になる」

という指摘である。良かれと思ってかけた言葉が、子どもを追い詰めてしまうこともある。
その現実を突きつけられ、胸が詰まる思いがした。

野口さんは、支援についても明確に示している。

「支援とは、“できるようにさせること”ではなく、“困らずに生きられること”」

だと。これは、子どもを変えようと必死になる親にとって、大きな救いの言葉だと思う。

この本は、「もっと頑張りなさい」と背中を押す本ではない。むしろ、

「そのままで大丈夫。環境のほうを見直そう」

と、静かに寄り添ってくれる一冊である。発達障害のある子どもを育てる家庭だけでなく、
すべての親に読んでほしい。そう感じさせられる読後感だった。

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この記事を書いた人

市民お一人おひとりの暮らしに寄り添い、その声を受け止め、少子高齢化問題や危機管理に関する解決策を即座に提起すること。そして、市民の皆さまが「長岡京市に住んで良かった」と安心して暮らせる街、さらに皆さまも何らかの形でかかわっていける街づくりをすすめていくためにはどうしたらよいか。
これまで私たちを育て、地域を発展させてきてくださった方々、高齢者世代の方々、若い世代の方々、地域の将来を担う子どもたちが安心して生活できること、皆さまが地域での生きがいや友人を得て、笑顔でいきいきと生活していくためにはどうすればいいのかを、しっかりと考えてまいります。

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