JAXAが、火星衛星探査計画「MMX」の探査機を公開しました。
今年秋にも種子島宇宙センターから打ち上げられ、約1年をかけて火星の近くへ。そして火星の衛星フォボスに着陸し、砂などのサンプルを採取して、2031年度に地球へ帰還する計画だといいます。
世界で初めて、火星の「月」から砂を持ち帰る挑戦です。
このニュースを見ながら、そもそも人間はなぜ、これほど遠いところまで行って「砂」を持ち帰ろうとするのだろうと思いました。その砂が、すぐに私たちの暮らしを便利にしてくれるわけではありません。
それでも、多くの人が長い年月をかけ、膨大な技術を積み重ね、失敗するかもしれないリスクを背負って宇宙へ向かう。そこにあるのは、やはり「知りたい」という人間の思いなのでしょう。
火星はどのようにしてできたのか。
太陽系はどのように生まれたのか。
地球には、なぜ水があり、生命が生まれたのか。
遠い火星の衛星を調べながら、実は私たちは「地球とは何か」「私たちはどこから来たのか」を知ろうとしているのかもしれません。
そして、もう一つ心に残ったのが「5年」という時間です。
2026年に出発して、帰還するのは2031年度。
今、この探査機に携わっている人たちは、すぐに結果が出る仕事をしているわけではありません。
打ち上げ、長い航行、火星圏への到着、フォボスへの着陸、サンプルの採取、そして地球への帰還。
一つひとつの難関を越えて、ようやく成果を見ることができます。
成果がすぐに見えなくても、未来に届くものを今つくる。
これは宇宙開発だけの話ではないように思います。
2031年。遠い未来のようで、わずか5年後です。
その頃、ニュースで「フォボスの砂が地球に帰ってきました」と聞く日が本当にやってくるかもしれません。
そのとき、自分自身はどんな5年間を過ごしているでしょう。
5年あれば、できることはたくさんあります。
すぐに結果を求めなくてもいい。
今年完成しなくてもいい。
時間をかけて育てていくものがあってもいい。
火星の「月」へ向かう小さな探査機を見ながら、そんなことを考えました。
5年後の自分に、私は何を持ち帰ることができるだろう。
宇宙のニュースなのに、なぜか自分のこれからを考えさせられるニュースでした。
