自治体のカスタマーハラスメント対策は、誰のためのものか

近年、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」への対策が広がっています。民間企業では、顧客からの暴言や過剰な要求、長時間にわたる拘束などに対して、従業員を守る取り組みが進められています。
では、自治体の場合はどうでしょうか。

自治体の窓口に来られる方は、民間企業でいう「お客様」とは少し違います。行政サービスを受ける権利を持つ「住民」です。生活に困っている方、不安や怒りを抱えて来庁される方、制度に納得できず説明を求める方もいます。

だからこそ、自治体のカスハラ対策は、単純に「迷惑な住民への対応」として語るべきではありません。
大切なのは、住民の声を封じることではなく、正当な意見や苦情と、職員を傷つける言動を切り分けることです。

行政への苦情や要望は、時に制度や運用を見直すきっかけになります。住民の声に耳を傾けることは、自治体職員にとって大切な仕事です。しかし、そのことと、職員が暴言や威圧、人格否定、執拗な要求に耐え続けることは別問題です。

「公務員だから我慢すべき」
「住民対応なのだから仕方がない」
「相手を怒らせないように、何とかその場を収めるしかない」

こうした考え方が、これまで多くの現場を疲弊させてきたのではないでしょうか。もちろん、住民には行政に意見を述べる権利があります。不満を伝えることも、説明を求めることも、正当な行為です。

一方で、職員にも、安全に働く権利があります。人格を否定されない権利があります。安心して職務にあたることができる職場環境を求める権利があります。

自治体のカスハラ対策は、この両方をどう守るかという問題です。

住民の権利を守ることと、職員を守ることは、本来対立するものではありません。むしろ、職員が安心して対応できる環境があってこそ、住民サービスの質も守られます。

窓口で一人の職員が抱え込み、何時間も対応し続ける。相手の言動に傷ついても、「自分の対応が悪かったのではないか」と思い込む。周囲も忙しさの中で助けに入れない。

こうした状況を、個人の我慢や能力の問題にしてはいけません。

必要なのは、組織としての対応です。たとえば、どのような言動をカスタマーハラスメントと捉えるのか。長時間対応になった場合、どの時点で上司や複数職員に引き継ぐのか。暴言や威圧的言動があった場合、記録をどう残すのか。退去要請や警察、弁護士との連携をどのように判断するのか。

こうした基準をあらかじめ明確にしておくことが、職員を守ることにつながります。

そして何より大切なのは、「一人で対応させない」ことです。

カスハラ対策は、窓口職員に強い対応を求めることではありません。現場の職員に、毅然とした態度を個人で背負わせることでもありません。組織として基準を持ち、管理職が責任を持ち、必要な場合にはチームで対応する。これがなければ、現場の職員は守られません。

自治体におけるカスハラ対策は、住民対応を拒むためのものではありません。苦情を排除するためのものでもありません。むしろ、行政が責任を持って住民と向き合い続けるための前提です。

職員が傷つき、疲弊し、離職していく職場で、質の高い住民サービスを続けることはできません。職員を守ることは、結果として住民サービスを守ることでもあります。

「住民の声を大切にする自治体」であるためにも、職員が安心して働ける環境が必要です。

その意味で、自治体のカスハラ対策は、職員のためだけのものではありません。住民のためにも、行政サービスの継続のためにも、そして自治体への信頼を守るためにも、今こそ必要な取り組みだと思います。

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この記事を書いた人

市民お一人おひとりの暮らしに寄り添い、その声を受け止め、少子高齢化問題や危機管理に関する解決策を即座に提起すること。そして、市民の皆さまが「長岡京市に住んで良かった」と安心して暮らせる街、さらに皆さまも何らかの形でかかわっていける街づくりをすすめていくためにはどうしたらよいか。
これまで私たちを育て、地域を発展させてきてくださった方々、高齢者世代の方々、若い世代の方々、地域の将来を担う子どもたちが安心して生活できること、皆さまが地域での生きがいや友人を得て、笑顔でいきいきと生活していくためにはどうすればいいのかを、しっかりと考えてまいります。

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